中部地方で愛される“声の文化”——ラジオとカフェがつなぐ地域の空気
- seichan0329
- 6月25日
- 読了時間: 6分
更新日:7月8日
「山と空とラジオと。」——中部の真ん中で、音を流すということ
■ 声と店と、空気を届けること
少しだけ、自分の経験もお話ししますね。
カフェを営んでいると、日々いろんなお客さまとお話する機会があります。どんな焙煎にするか、どんな豆にするか、天気や季節と相談しながら、空気に合う一杯を出す。
そんな日々の中、地元のFMラジオ番組に出演させていただいたことがありました。テーマは「地域に根づく店の声」。緊張しながらマイクに向かったんですが、不思議とお客さまと話すときと似た空気が流れていて。“声で空気を届ける”というラジオの本質に、あらためて気づかされたんです。
■ なぜ、今あえて“ラジオ”なのか?
最近、スマホでも音楽でも動画でも、音のコンテンツが本当に増えましたよね。YouTube、Spotify、ポッドキャスト、配信アプリ──選びきれないほどの音声があふれています。
そんな時代に、あえて「ラジオ」を語るのは、ちょっとノスタルジー?……いいえ、そうじゃないんです。
この中部の真ん中で、ラジオって、いまだに“地元の空気を知るメディア”として、根強く愛されています。天気のこと、道路のこと、農作業のこと、お祭りのこと──テレビよりも先に、ラジオが届けてくれる情報って、案外多いんですよ。
■ 山に囲まれているからこそ、音に頼る文化がある
うちの地元って、ぐるっと山に囲まれた土地なんです。平地の広さよりも、山の影の方が濃くて。だからこそ、“視界じゃなくて音でつながる文化”が、自然と根づいたんだと思います。
たとえば昔、小学生の頃に聴いていたのが、夕方の交通情報。農道での事故や、霧の出やすい峠道の注意喚起。おばあちゃんがキッチンで聞いてるラジオから、それとなく流れてきて、家族が自然に情報を共有していたのを思い出します。
■ ラジオは“声の風景”
声だけで構成されたコンテンツって、不思議ですよね。映像がない分、想像力が余白を埋めてくれる。
たとえば、地元の方言混じりでお便りを読むパーソナリティの声。田舎らしいゆったりしたテンポのBGMと、朝の気温、野鳥の話題、湧き水の温度。こういう情報が、なぜかホッとするのは、きっとその土地の“音の風景”だからなんでしょうね。
■ 中部エリアは意外とラジオ熱が高い!
実は、このエリアは地元密着型のラジオ局が複数あります。FMからAMまで、小さな範囲で発信されている局もあって、地域の情報をこまめに届けてくれます。
おもしろいのは、リスナーが投稿してくるお便りの質が高いこと。農業や林業に関わる話、地元の郷土食の知恵、家族のつながり──どこか文学的で、あたたかくて、それでいて実用的。
このエリアのラジオが「暮らしの知恵袋」って言われるのも、納得です。
■ そんな地元を宣伝する
ご紹介するのは……とある「風の町」。自然がすこぶる元気で、食べ物が妙においしい。駅に降り立った瞬間に、空気が違うんですよ。なんだろう、ちょっとすぅっと入ってくるんですよね、肺の奥まで。
この町の魅力、ちょっとだけ、お話してみようかなと思います。
⛰️自然と共にある暮らし
まず最初に感じるのは、四季がくっきりと生きていること。春の山菜、夏の緑と川の音、秋の紅葉、冬の凛とした空気。
特におすすめなのは“朝の光”。この場所の朝は、ただ明るいんじゃなくて「目覚める光」なんですよ。夏でも朝晩はすっと涼しくて、コーヒー片手にテラスに出ると、それだけで贅沢。
遠くに見える山々が季節ごとに表情を変えて、見飽きない。風が吹いた時の稲の音。虫の声。木の匂い。都会ではBGMになりがちな音たちが、ここではちゃんと「生きている音」になる。
🍎味覚のパラダイス
このまちに来てびっくりしたのが、“果物の甘さ”。とくにね、リンゴ。もうね、「リンゴって、果物界のチャンピオンだったんだな」と気づかされる。カリッとした皮の奥に、蜜がじゅわってあふれて、たまらないんですよ。
でもそれだけじゃない。蕎麦、野菜、おやき、漬物、蜂蜜、ワイン、チーズ、味噌、パン。どれも地元で丁寧に作られていて、“飾らないのに旨い”。その土地の温度と風が、そのまま味になってるんです。
観光で立ち寄るだけじゃもったいない。できれば、滞在してじっくり味わってほしい場所。
🚃人と町と、時間の流れ
このまちの人たちは、時間の使い方が上手。朝はしっかり朝で、昼はちゃんと働いて、夕方には畑に行ったり、コーヒーを飲んだり。夜は静かで、星がよく見える。おしゃべりのテンポも、どこか優しい。
なんでもかんでも“効率”に追われる都会の暮らしから離れると、「ああ、本来の時間ってこうだったんだな」と気づかされます。
🧳訪れる人のための魅力も
もちろん、観光地としての魅力もたっぷり。
美しい高原に建つリゾート施設、温泉、登山道、湖、古民家カフェ。冬はスキー、春は山菜狩り、夏は星空観察、秋は紅葉狩りと、一年中“飽き”がないんですよね。
移住体験やワーケーション、農業体験なんかも充実していて、“ふらっと来た人”が、そのまま住み着いちゃうこともあるとか。
📦でも、全部が便利なわけじゃない
ただし――なんでもあるわけじゃありません。
電車は1時間に数本。夜は真っ暗。コンビニだってちょっと離れてるし、雨が降れば田んぼ道はぬかるむ。
だけど、それがまた良いんです。「ないものを欲しがるより、あるものを丁寧に受け取る」そういう生活ができる場所です。
不便と感じる部分は、逆に言えば、“生きてる実感”を取り戻すチャンスなのかもしれません。
🌿さいごに
この町で過ごすと、不思議と「焦り」が抜けていきます。競争から降りたわけじゃない。だけど、比べなくなる。自然の時間に沿って、自分の速度を取り戻す――そんな町。
名前を出すと観光地っぽく聞こえてしまうので、あえて伏せます。でも、風が澄んでいて、水が冷たくて、野菜がおいしくて、ちょっと気難しいけど優しい人が多い――そんな町が、ここにはあります。
あなたも、深呼吸しに来ませんか。
■ 若い世代とラジオの接点
若い世代はラジオを聴かないのかというと、そんなこともありません。むしろ最近では、「音声配信アプリ」や「YouTubeラジオ」など、新しい形で再接続されてる感じがします。
自分たちで収録して、投稿して、コメントをもらって……。昔の「深夜ラジオ」の文化が、スマホの中に再来してる、そんな感覚です。
ラジオって、声でつながるからこそ、誤魔化しが効かない。だからこそ、リスナーは“人”に惹かれて、配信者は“空気”を届けようとする。
──この関係性が、どの時代にも生き続けてるんじゃないかなと思うんです。
■ 最後に:ラジオは“時差”のある愛し方ができる
映像やSNSと違って、ラジオには“時差”がある。リアルタイムで聴くのも良いけど、録音したものを数日後に聴くのもアリ。
それって、いつでも戻れる安心感みたいなものかもしれませんね。この地元で流れるラジオの音に、いまでも少し救われてる気がするのは、きっとそういう“愛し方”ができるからなんだと思います。
では、今日のトークはここまで。よろしければ、CASTでも、Spotifyでも、YouTubeでもお楽しみいただけますので、ぜひフォローしてみてくださいね🎧✨
音のそばで、お会いしましょう。
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