二人声劇台本(台本参加人数2人)
5分読了
商用利用可能(さまざまな場面でご使用ください。)
○素晴らしい。君は素晴らしくも人間だよ。
×一体どういうことでしょうか。
○君はとても人間らしい生き方をしていると、言っている。
×私は、他人に危害を及ぼしました。
罪を持っていると自分では思います。
○ははっ...罪を持っていないヒト科なんぞ、この世のどこにも存在しない。
罪を持って生きることを悪と思っているうちは半人前なのだ。
しかしながら、君はその罪を存分に使用した。
×どういうことでしょうか。
私は、彼の秘め事をSNSで暴露してしまったがゆえに、さまざまな閲覧者から蔑ろにするコメントをもって私を攻撃した挙句、私自身が精神を病み、この精神科に受診しに参ったのです。
彼へのインターネット上の失礼な物申しで憎悪も感じていましたが、彼へのSNSでの秘め事の暴露は、確かに罪であると主張します。
しかしながら、ヒト科という大きなくくりの罪では私は断じてないと思います。
○私はね。君。君を助けようと大きなくくりから、君の行為を正当化しているのだよ。
君の行為、つまり他人の秘め事を不特定多数の他人へ吐露することは、悪いことだが、仕方ないことなのだよ。
×「悪いことだが、仕方ない」とは一体...
○人間、つまりヒト科の最も難しいことを説明する。
それはとても単純で明快だ。
しかしながら、現段階のヒト科ではそれを解消することは出来ない。
×難しいこと...
その「難しいこと」に今回の私の罪は含まれているのでしょうか。
○その通りである。
だからこそ、君の罪はなんら不思議な出来事ではない。
トラが満腹時に人間を襲わないように。
×先生、私は不思議です。
とても大切な関係の彼の秘め事をSNSという不特定多数が見ている場で公言してしまった自分が不思議なのです。
○私は、そうは思わない。
これは令和の時代、始まった「難しいこと」ではない。
ヒト科がヒト科を考えに考えつくそうと思った時代、古代ローマ時代に遡る。
古代ローマの哲学者は天才と私は思っている。
そして思慮深いと思う。
×その古代ローマの哲学者が記した「難しい」こととは一体何でしょうか。
○そうだな。君のお話をしなくてはいけない。
ここは精神科なのだから。
君を癒さなくてはいけない。
×はい...
○最もヒト科が難しいこと。それは三つある。
秘密を守ること。
他人から受けた危害を忘れること。
暇な時間を利用すること。
以上の三つである。
奇しくも君は、この三つを同時に並行してやってのけてしまった。
×同時に?平行に?
○暇な時間を弄び、彼からの危害を忘れずに、それを良しとしてSNSへ吐露してしまったのだ。
君は何も悪くない。歴史上、皆がやっていることなのだから。
声劇台本を書くにあたって参考にした書籍
僕が作成した声劇台本にはインスピレーションを受けた事象や書籍があります。
それらの書籍を簡単にですが、ご紹介します。
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