二人声劇台本(台本参加人数2人)
1518文字
5分読了
商用利用可能(さまざまな場面でご使用ください。)
「怖い」
「怖い怖い怖い」
「怖いよ、怖い」
「なんでみんな平然としていられるんだ!」
「怖い、怖い怖い怖い」
「先生、一体どうしたというのです。」
「近づくな!この嘘つきめ!」
「のうのうと生きやがって!恥知らずめ!」
「僕は、怖いよ」
「怖い、怖い、怖い」
「誰かが監視しているに違いない」
「カーテンを閉めろ!来客を全て断れ!」
「僕は怖い、怖いよ」
「どうしたんですか」
「仕事がうまくいかないのですか」
「それならそうと早くおっしゃっていただければいいのに」
「違う!」
「この嘘つきめ!」
「怖い、怖い、怖い...」
「きっと頭がおかしくなってしまったのだわ」
「かわいそうに...」
「きっと、悪い薬でも服用したんだわ」
「(こうはなりたくないわね)」
「怖い、怖い、怖い」
「僕は全てが怖い」
「ぎゃー!」
「近づくな!触るな!」
「近づくなって、先生もう一週間もお風呂に入ってないじゃないですか」
「ゴミだって散らかっているし...」
「掃除しに私が来たんですよ。怖がらないでください」
「やめろ!来るな!う...う...」
「お孫さんがいらっしゃいましたよ。先生。しっかりしてください。」
「かわいいですね。今日の先生の様子を聞きつけて息子さんのお孫さんが来てくださいましたよ!」
「うわーん!○○チャン!○○チャン!うわーん!」
「先生。一体どうしたというのですか。以前の厳格な先生の姿を一度見たくて、東京から長野の別荘までやってきたというのに。」
「う...う...もう、ここにも居場所は無い。東京にも長野にも、この別荘にも...居場所は無い。」
「そんなことは無いですよ!先生ほどの財力の持ち主で社交も確立された方がなにをおっしゃいます。」
「居場所なんてないんだ。もう...どこにも...」
「うわーん!怖い、怖い、怖い」
「いやだ、いやだ、いやだ!」
「僕はなんでこの歳まで何もしてこなかったんだ!」
「うわーん!殺してくれ!頼む!この無力な自分を殺してくれ!」
「先生。めったなことはおっしゃってはいけません。」
「どんなに不安な目に合ってもきっと神様は見てくださってますよ。」
「神...?森林破壊を需要する神のことか?戦争を黙認する神のことか?それとも飢えと飢餓に耐えるという目標を作った神のことか?いや、被災して放射線の危険に晒されて、全てを失った上にその人間を差別をする携帯でしか情報を仕入れないくせに、まるで見てきたような物言いをする人間のことか?」
「いや、そんな神の存在なんてどうでもいい。」
「私はね。君。もう永くは無いのだよ。」
「えっ...先生。お医者様から何か重篤なご病気を言い渡されたのですか?」
「ばかか!違うわ!この嘘つきめ!いいようにへらへら笑いやがって!」
「酒に女に金に地位ばかりに踊らされやがって!このばか!」
「果ては、友人間の悩み?見たこともないネット上の『友達』の顔のない顔にびくびくしやがって!」
「車の価格で人の価値を測りやがって!言葉をうまく扱える人を重んじやがって!友達の多い人を孤独じゃないとか言い放ちやがって!」
「これでは先生は、何にこんなにもおびえてらっしゃるのですか?」
「お前にはわかるまい。一生な。くだらないネットや時が過ぎればすぐに懐かしくなる音楽に浸っているようではな。」
「ごめんね。○○チャン。ごめんね。○○チャン。」
「(先生はついに頭がおかしくなってしまったのだ)」
「ごめんね。○○チャン。神は君のことを見放したみたいだ。」
「もう...○○チャンに残っている未来は無いんだよ。」
「僕たち大人が全部壊してしまった。」
「しかもね。○○チャン。大人は壊したつもりはないって言うんだ。作り上げたって言うんだ。」
「ごめんね。○○チャン。君の未来は無いんだよ。」
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